AIが情報を均質化していくほど、「味・香り・触感・空気感・人と人の関係」といった**クオリア(体験)**の価値は上がる。
では、僕たちはどんな“仕事設計”をすればいいのか?
結論(3行)
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体験の源泉=現場に近づくほど替えが効かない。
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コミュニティとブランドが利ざやを最大化する。
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AIは“道具”として徹底活用し、制作時間を圧縮→体験の質へ再投資。
1. 4領域の「稼げる」型(食/エンタメ/クラフト/ブランド)
A. 食(味覚・嗅覚・触覚が価値の中心)
職種例
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ポップアップシェフ/間借りカレー・ラーメン
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焙煎士(マイクロロースター)/スペシャルティ珈琲スタンド
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醗酵・発酵クリエイター(味噌・麹・クラフト酢)
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フード体験ガイド(インバウンド向け市場ツアー+試食)
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デザートD2C(生ガトーショコラ、チーズケーキ、バスク等)
日本向けチャンス
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間借り営業→週末限定で検証(固定費極小)。
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地域食材×物語(例:能登/東北の復興食材、離島の塩、鹿児島の鰻…)。
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インバウンド再拡大:食体験+英語対応で単価UP。
30日ミニ検証
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平日:試作→週末:ポップアップ1日出店。
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KPI:来場30人、客単価1,200円→売上36,000円/日。
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3回目までに顧客LINE/Instagram登録累計100件を目標。
B. エンタメ(ライブ/会える/一緒に作る)
職種例
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ライブ配信×月例オフ会(音楽・雑談・勉強会)
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VTuber/クリエイターの現地イベント運営(少人数・高体験)
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ローカルツアー×撮影会(写真・映像の“同行制作”)
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ファンクラブ(月額1,000〜1,500円)+限定コンテンツ+年2回リアル
稼ぎの型
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無料SNS→会える場(15〜40名)→年次メンバーシップ→物販。
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小規模でも、**ARPPU(課金単価)**を上げる設計がカギ。
90日スケジュール
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0–30日:週2回ライブ配信(アーカイブ編集→Reels/TikTok)
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31–60日:初オフ会(参加費2,000円×20名=40,000円)
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61–90日:メンバーシップ開始(月1,000円×50名=月50,000円)
C. クラフト(手仕事×テックのハイブリッド)
職種例
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レザー/金工/木工(3Dプリントで型出し→手仕上げ)
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染織・藍染・組紐のアップサイクル(着物リメイク小物)
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ミニ提灯/和紙照明/錫器/漆器のカスタム受注
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推し活向け一点物(名入れ・限定色・シリアルNo.)
日本向けチャンス
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伝統×現代意匠は海外で刺さる。
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Makuake/CAMPFIREで限定色・受注生産→在庫リスク極小。
価格設計(例)
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原価3,000円+梱包/手数料1,000円+工数(時給2,000円×1.5h=3,000円)
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→ミニ財布の販売価格:8,800〜9,800円でテスト。
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10個販売で売上約88,000円、粗利は約41,000〜51,000円目安。
D. ブランド(物語×希少性×一貫した世界観)
職種例
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マイクロブランド主宰(フード/クラフト/アパレル/コスメ)
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体験設計(ポップアップ内装・香り・BGM・接客の脚本化)
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ブランドストーリーテラー(長文note+ショート動画展開)
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コミュニティ運営(会員証NFT/会員限定先行販売※投機NGで健全運用)
伸ばし方の原則
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①希少性(数量・抽選・限定色)
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②一貫性(色・書体・語り口・香り)
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③物語(原材料・作り手・土地)
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④余白(語りたくなる“わからなさ”)
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⑤儀式(開封体験、手紙、スタンプ、初回招待状)
2. 収益モデルの現実解(組み合わせが正義)
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直販(ポップアップ/EC):粗利高。顧客データが残る。
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サブスク/会員制:予測可能なキャッシュフロー。ノベルティで解約率↓。
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ワークショップ:体験×学び。材料費込みで5,000〜12,000円/人。
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受注生産:先に現金→在庫リスク小。納期は余裕を。
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B2B卸:ロットで売上安定。条件は必ず書面(掛け率・納期・返品)。
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コンテンツ販売:レシピ、型紙、設計データ、講座。
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体験観光:インバウンド+英語で単価UP(通訳ボランティアから実績作りも可)。
ミニ計画例(3ヶ月)
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月1ポップアップ(来場40名×客単価1,500=60,000円)×3回=180,000円
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月1ワークショップ(8名×8,000=64,000円)×3回=192,000円
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EC受注(単価9,800×月15個=147,000円)×3ヶ月=441,000円
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合計:813,000円(粗利は各コスト次第だが現実的な到達ライン)
3. まず何を学ぶ?最短ロードマップ(0→90日)
Day 0–14:企画と検証準備
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**“1行コンセプト”**を作る(例:「藍染×推し活=限定色の一本紐」)。
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MVP(最小プロト)を1種だけ試作。
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アカウント開設:Instagram / TikTok / note(更新動線は1本化)。
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支払い動線:Stripe/BASE/STORESのどれか1つでOK。
Day 15–45:小さく売る・人に触れる
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ポップアップ or 間借り1回。予約フォーム+前払い可。
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制作・仕込みは毎日30分(“作業ルーティン化”が勝ち筋)。
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UGC(お客の投稿)をリポスト→ハイライトに固定。
Day 46–90:仕組み化とブランド化
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定番1品を決める(迷うほど売れない)。
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価格改定(在庫が捌ける→少し上げる→需給の最適点を探る)。
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会員プラン(月500〜1,500円/限定販売・抽選・手紙・レシピ配布)。
4. 集客とSNS運用:KPI設計(シンプルで十分)
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週4投稿(ショート動画2、写真1、ストーリーズ1)。
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保存率:10%以上/リンクCTR:3%以上が目安。
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DM返信:24時間以内。個別の悩み→商品設計の仮説。
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イベント→フォロー→会員化の3段階で設計(ボトルネックだけ改善)。
投稿フォーマット
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最初の1秒:嗅覚・食感・音を想像させるショット
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Before→After(素材→完成/型紙→仕上げ)
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30–50字の物語(産地・人名・季節)
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CTA:「今週末のポップアップで」「来月の抽選で」
5. 価格と原価の考え方(怖がらず“段階的に上げる”)
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**原価率(材料+梱包+手数料)**をまず把握。
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自分の時給を必ず入れる(例:時給2,000円×制作1.5h=3,000円)。
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小ロットは高く。売れ始めてから少し下げて量で回収。
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“完売=値付けが低い”合図。次回は10〜15%上げてテスト。
6. 法務・衛生・安全の超要点(最低限)
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飲食:食品衛生・営業許可、表示(原材料/特定原材料7品目等)を自治体に要確認。
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火器・場所:ポップアップ会場の規約を読み込む。
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受注生産:納期と返品条件を明記。
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個人情報:予約・会員のデータ取り扱いを簡潔に告知。
※疑問点は保健所/商工会議所に相談。無料で丁寧に教えてくれる。
7. AI/ノーコード“時短”ツール(体験の質に再投資)
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レシピ整理/工程表/在庫計算:スプレッドシート+AI要約。
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写真・動画編集:CapCut / VN / Vrew(字幕)で1本30–45分目安。
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予約・決済:BASE / STORES / Shopify(最初は1つに集中)。
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多言語キャプション:英語・中国語をAIで下訳→ネイティブに軽くチェック依頼。
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商品説明:AIで草案→**自分の言葉で“匂い・音・手触り”**を足す。
8. 3つの勝ちパターン(再現性高め)
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「週末だけ店主」×「限定10食」
固定費ゼロ近く→毎週完売→会員・抽選に移行。 -
「手仕事×一点物」×「制作ライブ配信」
制作過程を見せる→購入者に“参加感”→到着後UGCで循環。 -
「体験ワークショップ」×「素材の物語」
体験で原価回収+商品も売れる。“学ぶ→持ち帰る”は満足度が高い。
9. 失敗あるある→対策
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商品が多すぎ:まず“定番1品”。
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在庫で死ぬ:受注生産/会員限定抽選に切替。
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世界観が散る:色・書体・言葉をブランドガイドで固定。
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値付けが怖い:完売→値上げループで市場価格を探る。
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拡散が弱い:体験の音・香り・手触りを言語化し、“保存したくなる”情報に。
10. 1ページ企画テンプレ(コピペ→書き換えOK)
ブランド名:______
一行コンセプト:______(例:「藍染×一本紐:推し色を持ち歩く」)
定番商品(体験):______
誰に:______(年代・趣味・居住地)
どこで:______(間借り/ポップアップ/EC)
価格:______(税込・限定数・抽選か)
物語の核:______(土地・人・季節・素材)
CTA:______(次の会える日/先行予約/抽選日)
KPI(90日):フォロワー_、会員_、月粗利_円
最後に:小さく始め、すぐ会おう
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“完璧”より**“接触回数”**。
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AIで台本・写真選定・在庫を時短し、現場の質にリソースを戻す。
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会う→語る→一緒に作る。ここに、AIでは代替できない“富の源泉”がある



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